2020年で面白かった本とこれから読むであろう本のこと(後編)
11.『ねじ式』
12.『紅い花』
寝室の電気を消して枕元の薄ぼんやりとしたランプの灯りで読書をするのが好きで、おかげで視力は年々悪くなっているが、至福の時間なのでやめられない。つげ義春の漫画や旅行記を眠る直前まで読めば奇妙な夢をみることは確約されたも同然である。
14.『ドストエフスキーの創作の問題』
バフチンもまた丸谷才一経由で知った文学研究者・思想家である。彼が死ぬとき、目が見えないので『デカメロン』の一話を朗読してもらうんですが、その選んだ一話は、神父の前で自分がいかに徳を積んだか尊敬される人物であるかでたらめを告白し、死後聖者としてみんなから本当に尊敬されてしまうというもの。そのエピソードが好きで、買いたい本リスト入れておいた。
15.『夢・アフォリズム・詩』
16.『絶対製造工場』
平凡社ライブラリーの本って、なーんか頭よくなった気がしますよね。
バフチンの本がなかなか見つからなくて、その間に、見つけた面白そうな本二冊です。『夢・アフォリズム・詩』は二冊目の購入ですが、手元に今ないので置いておきたくて。カフカのアフォリズムは、いいですよ。「すげー」よりも「わかるわかる」ってなります。
17.『笑ゥせぇるすまん』
みなさまAbemaTVのしくじり先生の「キングオブう大」は観られましたか?
ザ・マミィのコント終わりのオードリー若林さんの感想で「はじめて笑ゥせぇるすまんを観たときの衝撃」みたいなことを言ってらっしゃったので、それが思い出されて購入。ブラックユーモアは私のコアなんですが、大事にしているだけに、「ブラック・ユーモア」をあたかも称号のように提供されると、身がたじろいで、今まで避けてきました。「藤子不二雄は初期の短編が面白いよ」みたいな評判もほとんど警告のように聞こえてしまい…
そんな陳腐な感情は、いい加減ないがしろにするのが吉だ。 もう令和元年も終わるし。ベランダに雪も積もっているし。
18〜20.『白痴』
21.『青い脂』
前述のバフチンのエピソードより、『デカメロン』を求めて河出文庫の書棚の前に来たのだが、なかなか見つからず、気がつけばこの問題作を手に取っていた。町屋良平が「最高に狂った小説です」とどこかで紹介していて、随分気になっていた。面白さを探究したいと常に思い描いているのに、枠にはまろうとする傾向が自分にはあり、それを脱却するためにも、奔放に書かれたよく分からないものを欲していた。レジに向かうと約3万円。奇しくも、本の雑誌の企画の「図書カード3万円分本を買う」と全く同じ構成をとってしまっていたが、これも枠にはまろうとする僕に相応しいと思い、諦めに似た清々しさがあった。
22『たった一人の反乱』
今年読んで一番面白かった本です。
面白くて面白くてあまりの面白さに爆発しました。
ここまで読んでいただいた奇特な方、ありがとうございました。最後に衝撃を受けた丸谷才一の読書論を紹介して終わります。
「忙しい時にこそ、本を読む。時間がある時には読んではいけない。時間があるときはぼーっと考える。考えると何を読めばいいか分かる」
正確な文ではないですが、大意は間違いないはずです。