周辺幻

沖の監視

2018-01-01から1年間の記事一覧

2018年の本 リコメンド10冊

2018年は、わりと本読みました。数えたら177冊でした。 表題の件、ご報告します。 部屋の本棚眺めながら、10冊、思うつくまま並べました。順番は、あってないようなものです。 1『カラマーゾフの兄弟』 カラマーゾフ家の道化師、フョードルが特に…

月曜の朝に

通勤電車の中で、こんな想像をすることがある。 成田空港の従業員用トイレの中で、わたしはまっさらな赤のスカートとジャケットの制服に身を包み、メタルブラックの太いベルトを巻いて鏡の前に立っている。ロビーへ出ると、口紅を強めに引いた口角をやわらか…

思い出

遠野光啓が故郷の青森で昏睡状態で発見されたのは、彼が上京七年目にして初めて東京で雪を見た日のことだった。彼がその夜に東京のアパートから徒歩で青森まで向かったのは、例えば出発が深夜だったので終電車がなかったとか退廃的な生活に反して健康優良児…

私の映画鑑賞

ストーリーが始まると、どうにもこうにも、混乱して仕様が無い。映画館で予告編を見ている時、大概すでにうんざりしている。「はあ、今から二時間もここに座ってなくちゃならないのか」と、思っている。煙草が吸いたい。帰宅し、シャワーを浴びてパジャマに…

フルマラソンにエントリー

土曜の午後、陸上競技場で前日受付を済ませた時、新潟県柏崎市の天気は荒れていた。日本海から強烈な風が吹き、木々はしなり、海岸線を歩く団体職員の帽子を吹き飛ばした。横殴りの激しい雨が降り、注意警報が町に流れた。県外からやってきたランナーは、ゼ…

海馬ママ

海馬ママは座らない。 いつも手を動かして、せわしなく家中を駆けずり回っている。 泥だらけになった大量のユニフォームをもみ洗いしながら、頭は今晩の献立と明日のお弁当のことを考えている。冷蔵庫の中には、野菜があふれている。かぶときゅうりとラディ…

りんごを読了

カテナチオ(イタリア語で閂を意味する)のように、口を閉ざすと、基本的には運や幸福は逃げて行く。ヒト上科ヒト科に属する新人として、せっかく言葉を操れるのなら、それを使わない手はない。駆使できるものは駆使をする、それが生物学上の基本的態度だ。走…